音楽とともに暮らす人たちのお気に入りの選盤を通して、自由な空間を散策していく番組SoundPicnicがスタート。
選んだレコードにまつわるトークと、現場の環境でリスニングを楽しみます。
今回のメンバーは、カトゥーヤスタケさん(以下「カ」)をMCに、レコード愛好家のハラッチさん(以下「ハ」)と、チャントルーズ店主のヒロムさん(以下「ヒ」)。
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フルバージョンはMixcloudのサウンドピクニックヘ
https://www.mixcloud.com/-soundpicnic-/
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Mark Barrott // Sketches from an Island(INTERNATIONAL FEEL)
「Deep Water」
ハ)マークバロットが2014年に、インターナショナルフィールというスペインのイビザ島にあるレーベルからリリースした、全体的に心地いい、波の音とか鳥の声とか民族楽器とか、そういうやさしい音が全体的に満ちているアルバムです。
全体を通して聴くと、映画とかドキュメンタリーのサントラみたいな感じで流しておける曲で、ジャケットも花とか植物とか色とりどりの鳥のイラストがきれいに描かれていて、楽園みたいなイビザ島の雰囲気を象徴している感じのジャケットです。
カ)ハラッチから教えてもらった、マークバロットが自宅のダイニングテーブルの上でラップトップとキーボードとヘッドホンでほぼ完結、イビザ島のフィールドレコーディングもミックスするような作り方をしていたっていう。
ハ)心地よい状況の中で曲を作ったということで、そのダイニングもひらけた感じで太陽の光が降り注ぐような。パソコン1台とモニターするヘッドホンと。そういう最小限のセットアップで作ったと。
最初、民族楽器とかいろんな音が入っているので、それぞれ生の楽器演奏して録音してるのかなぁって思って調べてみたら、実際は自宅のダイニングテーブルの上で作ったってことで、そこが非常に興味深いなと思って。
カリンバ等の民族楽器やフィールドレコーディング、電子音などがちりばめられた曲を探すきっかけになりました。
TOMIN PEREA-CHAMBLEE // Flores para Verene / Cantos para Caramina (INTERNATIONAL ANTHEM)
「Life Revisited」
カ)チャントルーズ店主ひろむさんの自己紹介を兼ねた一曲ということで。トミン・ペレア=シャンブリーさん、この方はニューヨークの若手のマルチ奏者っていうんでしょうか。
ヒ)トランペット、クラリネット、フルートなんかをやる、スタンディングオンザコーナーというジャズ集団のメンバーの1人でもあるという。
もともとレコードでリリースされるもっと前に、バンドキャンプを掘ってたら自主リリースしている段階の音源を見つけて、すごいいいなぁと思ってたけど購入者がいなくて、そしたらインターナショナルアンセムでレコードリリースしてびっくりして、普通に買うよね、みたいな。
ビートテープっぽく1分とか長くて2分とか、それをたぶんサンプラーのSP303にマルチトラックで録る録音スタイルがすごい面白いなぁって。YouTubeにその動画もあるんですけどね。
カ)ヒロムが最近カシオトーンとかフルートやサックスをやったり音楽を作ってるっていうのを聞いて。サウンドクラウドにあげてるの?
ヒ 最近は楽器の練習ばっかりしててあんまり作ってないんですけど、日記的な感じでできたというか、ストックの曲もいっぱいあるけど、どうこうしようってわけじゃなくて。このアーティストもすごい若い人だけど、何か通ずるものがあるなぁ、やってること似てるなぁ、と感じたところはあります。
カ)Casio’s Dreamという曲がハイル・メルギアを彷彿とさせるような。
ヒ)影響はあるっすよね、エチオピアの音階っていうか懐かしい感じっていうか。
ハ)日本の音階と似てるんですもんね。演歌っぽい感じというか。
ヒ)Casio’s Dreamは、カシオの楽器自体が古いものだから、ウチの子供とかも遊んだりしてるんですけど、どっかで眠ってた何十年か前のが復活してきて、また遊んでもらってる夢見てるみたいな、そういうドリームなんですよね。カシオが夢見てるみたいな。夢でなく現実に遊ばれてるんだけど、そういうイメージ。後付けなんですけどね。それいいんじゃない、みたいな。
カ)アルバムラストを飾るLife Revisited、人生再訪。
ヒ)意味合いも訳してみたら今の自分とマッチングするじゃん、みたいな。ライフスタイルというか解釈によると思いますけどね。自分的には2週目みたいな意味でいいかなって。
野鳥風土記-ふるさとの小鳥たち-四季のさえずり(Toshiba Records)
カ)再訪が来たので、訪れたら出てくじゃないけど、出かけていこうみたいな感じで2枚目の紹介お願いします。
ハ)音響的に面白いと思った曲ということで、春夏秋冬の四季の野鳥の声をおさめたレコードです。
出た年代が19◯◯年ってしか分からないんですけど、実はウチの母親が高校の先生からもらったレコードで。それを何十年か前に僕が母親からもらったんですけど、全然聞いてなくって。それから音響的なのを聴くようになって、ちょっと針落としてみようかなぁって聴いたら、単に野鳥の声だけじゃなく、四季折々のお祭りの音とか、雪崩のゴォーって音とか、そういう自然のフォールドレコーディングがミックスされたレコードになってて。
ライナーノーツみたいなのがありまして、それによると、雪崩から始まって、キツツキのドラムに繋がるとか。木枯らしの音が鳴って、そこにゴジュウカラの鳥の声が繋がるとか。一つの音楽みたいな感じがこのレコードには入ってて。
ヒ)単なるフィールドレコーディングじゃなくて、ちゃんと構成して意図的に作られてるってことか。
ハ)そうですね。編集してるんですね。実際作者の人も、これは単に鳥の声が入っている普通のレコードじゃない、と。
カ)構成をグラフっていうか図形みたいな。時間と鳥の名称とお遍路の鈴とかねぶた祭りも入ってる。
ハ)そうです。レイヤーで重なりが目で見れるようになってて。鳥の声って周波数が全部違うらしく、重なることがないみたいなんですけど、聴いてると電子音みたいに聴こえてくるみたいな。途中でソナーみたいな鳥の声が聴こえてきたりとか。ニコラ・クルーズの南米のアンデス・ステップとか、音楽のジャンルの中でそういうのを使ったりしますけど、それとは若干違うんですけど、これにビートが入ったら野鳥テクノみたいな。
自宅にDJミキサーがある人はジャズの上に流したりしても結構ハマるというか、面白いです。
Harold Budd // The Pavilion Of Dreams(Harold Budd – The Pavilion Of Dreams)
「Bismillahi ‘Rrahman ‘Rrahim」
ヒ 今はない古本屋なんですけど、フリージャズとかスピリチュアルジャズのレコードとか結構落ちてて、そこで5・6年前かその中にハロルドバットってあったんですよね。その人自体は知らなかったけれど、ジャケにfeaturingマリオンブラウン、後ろを見るとブライアンイーノって書いてるし、千円くらいで買ったのかな。聴いてみると、ジャズなのかなって思ってたけど、すごい静かだしなぁみたいな。
ちょうどそういう音楽を欲してる時期だったのかな。すごいマッチングしたというか。結構きっかけになった1枚ではあります。サックスがすごく気持ちいいんですけどね。1曲目のなんか読めない、イスラム教?ヒンドゥー教?どっちかな。いわゆる仏教でいう南無阿弥陀仏みたいな何か始めるときに言う定番の文句らしいんですよね。さっき気づいたんだけど2曲目の曲にファラオサンダースの曲を引用しているのかな、書いてるんですよね。write’n by Pharoah Sanders みたいなのとか。ブライアンイーノがAMBIENT 1 を1978年にリリースしてるんだけど、このアルバムは録音が1976年だったんですよね。
カ)なんて書いてるか分からないけど、この、慈悲深く慈愛あふれる神の御名においてっていう、何か自分の内面が映し出されているのか。掘り下げれば色んな背景が出てくるとは思うけど。
その。古本屋で何気なく手にとったりとか、そういうのに出会うコツとか何かあります?
ヒ)青森って専門のレコード屋ってなかなかないじゃないですか。だから結局リサイクルショップとかで、歌謡曲がいっぱいあるその中から何かを見つけるのに、すごい時間も費やすし手も真っ黒になるし。
最近気づいたんですけど、最初の見はじめの頃におって思うやつが出てくるんですよ。それから他に何かあるかなって2時間とかかけて見ても、結局最初の。だからそこの時点でやめておけば時間を浪費しないし、無駄に追わないっていうのが最近の自分のルールですね。
カ)ニュートラルな状態で店に入って、たまたま手を伸ばした棚が実はもう呼んでたという。ハラッチはどうですか。出会う場所とかプロセスとか。
ハ)ヒロムさんが言うように地元のリサイクルショップにも行くんですけど、旅先で調べて知らないお店に行きます。そうなると店の品揃えが全然把握できてないじゃないですか。なので店主の人にどれがいいですかと聞いたりとか、自分で掘るのもそうですけど、その旅先での出会いみたいな。
前に新潟行った時も、SHE Ye,Ye Recordsってあるんですけど、ネットで調べても出てこない骨董品みたいなレコードばっかり扱っているとこがあって、店は小さくて薄暗くて、置いているレコードも自分の知識では引っ掛からないものばっかりなんです。それこそ読み方もわからないし。迷ってたら木の下でフルートを吹いている人のレコードがあって、それは新品で、ある人の曲をコンパイルしたものだったんですけど、それを店の人に聞いたら、それはインドの竹笛吹く人のレコードで、木の下で竹笛吹いてると動物集まってくるんだよって。ジャケもすごくかっこいいんですけど、京都のメディテーションと大阪のエム・レコードのコラボで出したやつだって言ってて。それを思い出に買って。みたいな。
T.R. Mahalingam // Portrait Of A Prodigy : His Early Years, 1940s-50s(em RECORDS)
今後の展開は不定期にMixcloudにアップされていくとのこと。インドアorアウトドア、ワークorホリディ、スピーカーorヘッドホンなど、お好きなスタイルで楽しんでみては。
更新情報はInstagramでお知らせするそうです。
https://www.instagram.com/osoundpicnico/